贈与契約書
贈与契約書
贈与はものを無償であげることです。多くの場合、親族間で行われます。2015年1月から相続税の基礎控除が4割削減されたことや、相続税の最高税率が55%に引き上げられたことを受けて、相続対策としての贈与を行う人が多くなりました。
贈与はものを無償であげる行為ですが、いくつか注意点があります。それは贈与という行為はあげる側のあげるという意思と、もらう側のもらうという意思が両方あって初めて成立することです。そのためよくある、ご両親やおじいちゃん・おばあちゃんが、子どもや孫の名義で預金を作って定期的にお金を振り込む方法ですが、これは贈与にはなりません。
なぜなら、あげる側のあげるという意思はわかりますが、もらう側のもらうという意思が無いのです。そもそも子どもや孫に預金をつくってお金をあげるよと言っていないので、もらう側の子どもや孫は「うんありがとう」ともらう意思をすることがそもそもありえないと言うことになります。
このようなケースで作られた預金は名義預金と言って、あげる側の財産とみなされます。つまり税務署はこれを贈与と見てはくれないのです。そこで贈与契約書を作っておいてあげる側、もらう側の意思を明確にしておくことが必要です。
「あげるよ、うんありがとう」があれば完全か?
先ほど、贈与はあげる側のあげるという意思と、もらう側のもらうという意思が両方あって成立すると書きましたがこれだけでいいのでしょうか?もしこれだけで良いとすると、贈与契約書のひな形を買ってきて、そこに財産の種類、数、金額や、あげる人(贈与者)と、もらう人(受贈者)の記載をするだけで贈与が成立するように思えます。でももし、その書類が形式だけで実際は受贈者であるお子さんやお孫さんが、一切そのもらった財産を管理できない状況だったらどうでしょう?
このような場合は、契約書があっても税務上贈与とみなされないケースがあります。税務の難しいところは、課税を公平に行うために事実を認定して、その事実認定に基づいて課税が行われるということです。難しくなりましたが、簡単にいえば、形だけ作ってもダメということです。
贈与という行為は、上手く使えば大きな相続税対策となります。また、贈与をすることでもらったお子さんやお孫さんの教育や、生活への大きな支えになります。後に税務署から指摘されて贈与を認めてもらえなくならないよう、金額の大きい贈与や、特殊な資産の贈与には専門家のアドバイスを受けることが望ましいでしょう。