名義預金と相続
名義預金は、一見単純なようでいて実は非常に複雑な問題です。被相続人の名義ではなく、親族の名義を使って資産を積み立てる場合、その存在を見落とすと、資産承継や遺産分割について再検討が必要になる可能性があります。この記事では、名義預金に関連する法務と税務の観点からの問題点、そしてその解消方法について解説します。
名義預金とは
名義預金とは、実際の所有者(例えば親)が他の親族(例えば子供)の名義で預金や証券口座に資産を積み立てるものです。例えば、親が子供の将来のために、子供の名義で預金口座を作成し、その口座に親のお金を預金するケースです。これは、親が贈与の意思を持っていても、子の受諾がない限り、贈与契約は成立せず、税務上は親の名義預金として扱われます。
税務と法務の取り扱い
名義預金は、実質的には親の相続財産であるものの、名義が子供などであるため、金融機関は名義人からの払い戻し請求に応じることがあります。また、相続後に名義預金の存在が判明すると、相続税の課税対象として考えられ、自己申告制の相続税申告において漏れると、加算税などのリスクが生じます。
遺産分割の問題
名義預金は、相続財産としてみなされ、遺産分割の対象となります。ただし、名義が本人のものでない場合、相続人の合意が必要となります。合意が得られない場合、遺産確認の訴えが必要となることもあります。この際、名義預金の事実、管理状況、贈与の有無などが考慮されます。
名義預金の凍結
名義預金の存在が分かった場合、金融機関は相続人の預金として口座を凍結することがあります。遺言で特定の相続人に名義預金を相続させる意向があっても、名義預金の場合、遺言の適用が難しい場合があります。そのため、相続人全員の合意等が必要な場合があります。
名義預金の解消方法
名義預金の問題を解消するためには、生前贈与や生命保険の活用が考えられます。名義預金を解消し、贈与を行うか、生命保険を活用して死亡時に財産を受け渡す方法があります。ただし贈与にまつわる税制は変化が多き分野ですので注意が必要です。
まとめ
最後に、贈与については個々のケースによって法律や税務上の注意すべき点が異なるため、専門家のアドバイスを求めることが重要です。名義預金に関連する問題は複雑であり、適切な対応が必要ですので、専門家の助言を受けることを強くお勧めします。